忖度する社会―究極の自律型組織が持つべきビジョンとは

こんにちは。中田麻奈美です。

 

去る3月27日は佐川元国税庁長官の証人喚問でしたね。
真相解明への手がかりを期待して見守った方も多かったのではないでしょうか。
結果は…私としては空振り。
(多くの方にとってもそうだったと思いますが)

 

自律的な行動の裏側にある「忖度」

 

今なお、コトの真相は分かりません。
しかし、官僚による「忖度」が本当にあったと仮定して、
一連の出来事を、全く違う視点で見てみると、
財務省は究極の自律型組織だったともいえるでしょう。

なぜならば、
イチイチ指示命令をしなくとも、
トップの意向を汲んで、「目指す理想の姿」「我々の目標」に向かって
自ら考え行動することこそ自律型組織の在り方だからです。

 

守るべき体制のために、
まさに自律的に文書を書き換え、
地中のゴミを都合よく算出し、
あたかも、正しい判断が行われたかのように取り繕う。

守るべき秘密は墓の中まで持っていく。

 

「忖度」はすっかり悪のイメージが定着してしまいましたが、
本来は「相手の気持ち、心情を推し量る」こと。
あうんの呼吸で相手の真意を読み取ること。

 

多かれ少なかれ、仕事がらみであろうとなかろうと、
日本社会は空気を読むことが求められます。

そう考えると、この社会は「忖度」で成り立っているわけです。

今回、この「忖度」が問題になったのは、
真意を推し量る以上のことがあった、
つまり「真意を推し量って、便宜を図った」という疑いがあるからです。

 

そしてこの「便宜を図る」という部分が、
官僚の自律的な考動であったとしたら、
財務省は高度な自律型組織といえるでしょう。

 

「正しい考動」は「正しいビジョン」によってのみ導かれる

 

国民を欺き、文書を改ざんして一部の政治家に便宜を図ることが
正しいかどうかといえば、
それは明らかに間違いでしょう。

一方で、多少腹黒い政治家が暗躍しても、
国としての経済力や外交力を維持する方が大切だと考える人もいるでしょう。

 

実際、経営者の中には
「安倍政権でなければ困る」という意見を憚らない方も
ある一定の割合でいらっしゃいます。

ここで私個人の政治的意見を言うつもりはありませんが、

問題は、「何をビジョンとして共有するか」ということです。

 

組織の目的が、「安倍政権を死守すること」であるならば、
今回の“自律的行動”は、
組織にとっては正しいことです。

 

実際、国家公務員制度改革基本法の目的は、
国家公務員が「国民全体の奉仕者」として
「国民の立場に立って」職務を遂行することです。

 

実は国民の真意が、ホンネでは「安倍政権の維持」だったとしたら、
まさに国民の立場に立った判断だったとも言えてしまうわけです。

 

この基本法の7つの基本理念のうち、今回は

① 議院内閣制の下、国家公務員がその役割を適切に果たすこと。

について考えてみます。

上記①に対する基本方針として、
さらに以下のような気になるキーワードがたくさん出てきます。

「政府は、議院内閣制の下、政治主導を強化し、国家公務員が内閣、内閣総理大臣及び
各大臣を補佐する役割を適切に果たすこととするため、~~」とか

「政府は、政官関係の透明化を含め、政策の立案、決定及び
実施の各段階における国家公務員としての責任の所在をより明確なものとし、
国民の的確な理解と批判の下にある公正で民主的な行政の推進に資するため~~」などなど。

 

「政治主導強化」という意識が、内閣への行き過ぎた忖度につながったのか?

「政官関係の透明化」のために、どうすればいいのか?

「国家公務員としての責任の所在」が「より明確」とは、どのような状態か?
現状がどのレベルで、目指す理想はどのレベルなのか?

「国民の的確な理解と批判の下にある公正で民主的な行政」とはどんな行政か?

 

もっともらしいキレイな言葉を並べるだけでは、
何千人といる職員ひとりひとりに、
同じ具体的なビジョンを抱いてもらうことは不可能でしょう。

 

人によって、立場によって、

解釈も考動も違ってしまう。

 

自律型組織に必要なのは、

誰でも同じ絵が描ける、

具体的に想像できるビジョンです。

 

まとめ

・自律型組織には「忖度」する文化が必要

・「正しい忖度」には「正しいビジョン」が必要

・「正しいビジョン」は具体的でなければ共有できない

 

 

ナカミ創造研究所では、
額に飾られた立派なビジョンを、
社員一人ひとりの中に具体的に描いて共有するお手伝いをしています。

 

 

 

 

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