店長クラスは指示に従わない人ばかり…

直営店にしろFCチェーンにしろ、多店舗展開しているお店を束ねるのは大変だと思います。
それぞれの商圏の地域性や客層に合わせつつも、自社の独自性やカラーは守らなければならない。
矛盾に苦しむ部分もあるかもしれません。
どういう人に店長やエリアマネージャーを任せればいいのでしょうか。

 

目指せ100店舗!のテンホウ研修

長野県には、老舗のラーメンチェーン「テンホウ」というお店があるのはご存知の通りです。
現在、県内だけで直営店・FC店合わせて30店舗以上に広がっています。
4代目の大石社長は、県内だけで目指せ100店舗!を掲げていらっしゃいます。
さらにどうせなら、テン・フォーで104店舗にしよう!と目標を上書きしました。
もう一度言いますが、今はまだ30店舗くらいです。
これを県内だけで104店に拡大する―

ちょっと聞いただけでは相当なストレッチ目標に思えますよね。

先日、この目標を自律的に達成するためのチームビルディング研修をお手伝いしてきました。

 

『かかわる全ての人が、この仕事や人を通じて、人生を最高に豊かで幸せなものにする』

社長には想いがあります。
ご自身が入社した20数年前は社内は不平不満ばかりだった。
働いていることを自慢できない会社だと言われた。
「文句ばっかり言ってないで、改善するように頑張ろう」と呼び掛けても、
「そんなこと言うだけ無駄なんだよ!そういう会社なんだよ。」と返された。

テンホウ・フーズさんには『豊かさの実現』という経営理念があります。

この定義を見直そう、というところから始めました。
最初はみんな、「財布の豊かさ」のことしか言わなかった。

でもそれだけじゃないでしょう?
と、とことん一緒に考えて導き出されたのが以下の5つです。
1.健康の豊かさ
2.心の豊かさ
3.人の豊かさ
4.趣味の豊かさ
5.お金の豊かさ

これを実現するには、まずみんなが楽しくないと!とお考えの大石社長。
社長が一方的に指示命令していても、みんな楽しいはずがない。

もっと社員にもお客さんにも地域にも喜ばれる会社にしたい。
働いていることを自慢できる会社でありたい。
「テンホウは必要な会社だね」とお客さんに言ってもらえる会社にしたい。
たとえば大きな災害が起こって店舗がめちゃめちゃになったとしても、
お客さんが「テンホウを潰しちゃいけない!」と駆け付けてくれるようなお店でありたい。

長野県には優良企業がたくさんあります。
そういう企業の社員たちは、パートさんまでみんながお客様をどうやって喜ばせようかと本気で考えています。
店長クラスの方々には、もっと現場から手離れして、お客様に喜ばれることを考えてほしい。
もっと働きたい(ブラックな意味ではなく)、輝きたいのに輝けない部下たちに、チャンスをあげられる人になってほしい。

だから、指示命令なしで、みんなでそんな会社を作っていきたい。
テンホウではなく、テンホウのスタッフを有名にしたい。
そういう想いあっての、今回の研修でした。

 

本当に指示ゼロのほうがうまくいく?部分最適と全体最適を体感

この研修の特徴は、とにかく体験型のワークが多いことです。
じっと座って話を聴くというものではありません。

自律的に行動したほうが本当にうまくいくのかどうか?
ワークで体験・体感してもらいます。

面白かったのは、ワークのルールさえ守られないこと!

メイン講師の米澤晋也さんも、これまでたくさんの研修をしてきたけれど、
こんなに動物園状態になったのは初めてだと目を輝かせていました。
「本当に指示に従わない人ばかりですね!」と(笑)

飼い慣らされ、指示がなければ動けない人と違って、
指示に従わない人ばかり…

すでに素質十分です。

 

たった一人の実在する人を、最高に幸せにするには?

指示ゼロの自律型組織のほうが、意思決定が速くて正確だということを実感していただいたところで、
いよいよビジョンをデザインしていきます。

今回は練習ということで、全社ビジョンではなく、グループごとにプロジェクトを考えてもらいました。

こんなに自由闊達なテンホウさんの切れ者・強者ぞろいの店長クラスであっても、
普段こんなことばっかり考えている私たち変人とは違って、
やはり妄想は難しいんだなと思いました。

よくマーケティングの世界では、ペルソナと言ったりしますが、
架空の顧客をプロファイリングして色々妄想しますよね。

これ、意外と難しいようです。
男女差もあるかもしれません。

とくに不特定多数が訪れるラーメン店で、多店舗展開していると、
全員が共通して知っているお客様を想定するのは難しいという問題もあります。

それでもいいと、私は思います。

よく、「○○を創造し~」なんていう文言が入った理念やビジョンを見ますが、
創造するものの具体的なイメージを全員が脳内再生できる状態でなければ、
その○○は永久に実現することはありません
よね。

それが、たった一つの同じイメージである必要はないと思っています。
同じコンセプトの、別のイメージでもいい。
あなたにも、私にも、大切にしたい想いがあったんだね。
あなたにも、私にも、最高に幸せにしたいたった一人の人がいるんだね。
私たちが創りたいのは、そんなたくさんの想いを具現化できるものだよね。

そのことを、心底共有できる、それこそが
ビジョン実現へのたった一つの道だと信じています。

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