「仕事は楽しいはずがない」という老害vs呼びかけ次第の○○タイプな新人

新年度がスタートし、新元号「令和」も発表になりましたね。
「ら行」はないだろうと思っていた私の予想は完全に外れました^^;

 

産労総合研究所が発表した今年の新入社員のタイプは、
「呼びかけ次第のAIスピーカータイプ」

多機能だけれど、その機能を十分に発揮させるには、
細かな設定(丁寧な育成)や別の補助装置(環境整備)が必要で、
最初の呼びかけが肝心
とのこと。

そして彼ら自身はAIに代替されないような仕事を志向していて、
企業への就職を安定の器とは考えていないといいます。

 

たしかに、内定を獲得した途端、転職サイトに登録する学生も増えてきました。
会社を利用してスキルアップして転職することが普通になりつつあります。
これまで以上に、人材の流動性を加味した人事施策が必要ですね。

誰が教えてもある一定以上のレベルに早く到達するような仕組み作り、
育成ポリシーやマニュアルを整備することは、
逆説的ですが結果的に定着率を上げることにもつながると思います。

細かい制度上のことはもちろんですが、
若い優秀な人材を惹きつけ、獲得するために最も大切なことは、
経営者や先輩世代の考え方を見直すことだと思います。

 

歯を食いしばることが美徳ではなくなった

 

「朝、ため息をついて出社する人を見るのが嫌だった。
みんなが志を持って前向きに楽しく働ける社会を創りたい」

そんな私の開業時の思いを、ある企業の取締役の方に話した時のことです。

「自分は仕事が楽しいと思ったことは1度もない。
あなたは創業者だから楽しいだろうけど、
雇われ人にとって仕事は基本、辛くて苦しいだけのものだ」と言われました。

「後になって思い出すのは、辛くて苦しかったことだ」とも。

もちろん、私が意味するところの「楽しい」は「ラク」ではありません。
むしろ辛くて苦しいけれど、それを乗り越えることが歓びという感覚です。
ドMなのかもしれません。

きっとその方も、後になって思い出す辛くて苦しかった経験というのは、
それを乗り越えた歓びとセットになっていて、
「楽しい」という言葉自体は使わなくても、同じことを意味していると思うのです。

しかし言い方ひとつですが、「仕事は楽しいはずがない」と言ってしまうのは危険だと考えます。

 

 

世の中には、仕事を楽しんでいる人を見るとイライラするという人がいます。
「仕事は楽しいはずがない」と定義づけているからだと思います。
本当は自分も楽しみたいのに、「楽しい」なんて言ったら負けだと思っている。
だから、自分にはできない「仕事を楽しむ」ことを実現している人を見ると腹立たしい。

でも、この感覚が危険です。
楽しくないことを渋々お金のためにやるのが仕事だとすると、
取締役や上司がそんな雰囲気を醸し出している重苦しい職場を選ぶ人はいるでしょうか。
この売り手市場にわざわざそんな会社に就職したい人は少ないでしょう。

 

“呼びかけ次第のAIスピーカー”にプラスの言葉を聴かせよう

 

仕事は楽しいはずがないとすると、待遇しか選ぶ基準がありません。
いかにラクしてたくさん稼げるかだけの勝負になります。

どんな職業にもやりがいを感じられるポイントはあるはずなのに、
「そんなものはない」と言い切ってしまうと、
やりがいや仕事の歓びに興味がある人ではなく、
お金のために仕方なく就職する人が来ることになります。

そんな人は、もっといい待遇の職場が見つかれば簡単に辞めてしまうでしょう。
他につなぎとめるものがないのだから。

多機能な新入社員の能力発揮に、丁寧な育成や環境整備が必要だと指摘されているように、
まずは「仕事は楽しい。愉しい。面白い。」
そんなプラスの言葉をかけてあげてほしいのです。

「仕事は辛くて苦しいだけで、楽しいなんてものでは全くない。」
その裏に隠された悦びを心底理解できるのは10年後です。
言葉を額面通り受け取る素直な若者に悟らせるには、難易度が高すぎます。

仕事は楽しくてもいいんです。
仕事を楽しむことを、ご自分にも周りにも許してあげましょう。

創造的な仕事、AIではなく人にしかできない仕事は、
脳が楽しんでいないとできないと思います。

仕事を楽しむことは、今後、あなたの会社から巣立つにしろ、幹部に育つにしろ、
長い社会人生活を送るうえで必須の能力の一つではないでしょうか。

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