11月27日付の日経新聞朝刊39面に、「日産元会長逮捕で社員に説明会」の記事がありました。
社員からの反応は冷ややかなものだったようです。
「期待した話が出なかった」
「何の意味があったのか」
「真相の説明がなかった」
といった不満の声があがっています。
報道のほうが詳しいくらいで、「大変だけど一緒に頑張ろう」という社長の声もむなしく、社員同士でこの件について話すことはなかったとか。
社員に信じてほしければ、社員を信じよう
日産ほどの規模の会社になれば、“ここだけの話”をしづらい事情もあるでしょう。
社員200人の中小企業と一緒にするのは無理があります。
それでも、社員に自分を信じてついてきてほしいと思うなら、
まずは社長であるあなたから社員を信じてほしいのです。
※そもそも自律型組織において、社長についていくという感覚ではないのですが、
話を簡単にするためにここでは「信じてついていく」という表現を使います。
「なにか社員だけに重要な話があるにちがいない」
いい時も悪い時も、一緒に頑張ろうと思うからこそ、社員も覚悟を決めて真相が語られるのを待っていたことと思います。
その期待を裏切っておいて、「一緒に頑張ろう」は少々虫が良すぎるのではないでしょうか。
財務諸表を見せられない社長の言い訳
こんな事例がありました。
社員から、「来年の部署ごとの目標を立てるにあたり、会社の財務諸表を見せてほしい」という要望が上がってきました。
しかし社長や管理部長は、「見せられない」の一点張り。
※黒字の非上場会社です。
社長たちの言い分はこうです。
「パートさんに難しいことを言っても分からない」
「現場の若い子たちには決算書は読めない」
…本当にそうでしょうか。
なぜそう決めつけているのでしょうか。
雇用形態や職位と能力は関係ない
パートさんは、社員より能力が低いからパートに甘んじているのでしょうか。
現場の若い子は決算書を説明しても理解できないでしょうか。
私はNOだと思います。
雇用形態や年齢・性別は能力とは関係ありません。
いささかバカにしすぎですよね。
黒字なのに見せられない決算書とはなんでしょうか。
社員に決算書を公開するしないについては、
色々な考え方があるのは承知しています。
それでも私は、社員を信じることが出来るなら、見せればいいと思っています。
赤字でも、どこをどう頑張れば結果を変えられるのか、一緒に考えることに意味があると思うのです。
売上が上がっても、すぐに給料や賞与を増やすことはできないかもしれない。
そんな事情も含めて、会社のことを知りたい。
とても見せられないほど役員報酬が高い?
それだけの責任を背負っているのですから、堂々と説明すればいいのです。
「見せられない」というのは、会社が社員を信用していないということです。
ならば社員の側も、会社を信じることはできません。
いい時も悪い時も一緒に頑張ろうという気持ちは萎えます。
因果応報です。
何事も、丁寧な趣旨説明が大切です。
説得しても納得しても、人は簡単には動きません。
それでも、説明すらなければ、それ以上聴こうという姿勢にまずなれません。
「信じろ」というなら、まずあなたから信じましょう。
信じて、丁寧に説明しましょう。
それで離れていく人はそれまでです。
一方、共感してくれる人も必ずいるでしょう。
共感が共感を呼んで、集団がひとつにまとまった時、
本当に強い組織になれるのだと思います。