金融機関がリスケに応じる経営改善計画書のつくり方

今日は半年以上バンクモニタリングに同席してきた企業様の経営改善計画書の打ち合わせでした。

結論から言うと、めでたく2行の同意を得られ、ほぼほぼリスケOKに。
今後は金融機関内の調整や事務手続きに入ります。

経営改善計画書は、金融機関に借入金の返済条件変更をお願いするときに必要になるものです。

窮境原因、改善策、実行計画、それによって今後5年の予想P/L、B/Sがどのように改善し、返済原資を確保するのかをまとめます。

しかし、なかなか経営者ご自身で計画書を作れない場合も多いので、
会計事務所やコンサルティング会社などの認定経営革新等支援機関が作成を手伝う(というか代筆する)サービスも提供しています。

 

現場が分かっているから書ける実現可能性の高い計画書

 

件の企業様は、経営陣自らが計画書を書きあげました。

毎月のバンクモニタリングで月次決算を振り返り、
金融機関とも十分にコミュニケーションを取って、
次のリスケをどうするのか合意形成を図りながら話を進めてきたので、
大きな方向性はお互いに分かっていました。

それをアクションプランに落とし込み、期限や担当者を決め、
結果を予想財務諸表に反映させるところまでご自身でやりきりました。

金融機関も保証協会も驚くほどの完成度の高さでした。

経営改善計画書の内容を一通り説明したところ、
ほぼ突っ込みどころナシで「これでいいですね」とのお返事。
「よくここまで書けましたね。」と感嘆する行員さんに、
社長は「外の人じゃなくて、現場が分かっている私だから書けるんです。架空のお話じゃなくて、実現可能性の高い計画を立てられました。」とおっしゃいました。

実際、この1年で粗利率が3割から4割に改善し、
営業赤字から営業黒字に回復しています。
この実現可能性の高い計画を着実に実行していけば、
必ずや年々利益を積み増し、設備の修繕費も捻出しつつ、リスケからの卒業に向かっていけるでしょう。

 

自分の言葉で自分の想いを伝えるから、伝わる


最後に行員さんが笑顔でおっしゃったのは、
「結局、どれだけ心を動かせるかで決まりますよね。補助金の申請書と同じです。」

この会社は補助金や助成金も何度も獲得していますが、
申請書はすべて社長自らが書いています。
添削は公的機関のサポートも受けつつ、ほとんど自力で仕上げています。

自分の言葉で自分の考えを整理し、想いを伝える。
だから、伝わる。

経営理念も同じです。

実際にあった事例で、やたら名言や格言を引用する社長もいらっしゃいましたが、
従業員から見ると「で、社長は何が言いたいの?どう思ってるの?」とシラケてしまうんです。
「音声明瞭、意味不明瞭」と陰口を叩かれていました…

計画書や申請書など、外向けのものはある程度体裁が整っていないといけません。
ぶっちゃけ、銀行向けの書類、お役所向けの書類です。
相手に「うん」と言わせるためには、特有の形式や言い回しなどテクニックがあるのも事実です。

しかし、社内向けの言葉は、かっこつけることが最優先じゃなくていいと思います。
多少たどたどしくても、つっかえても、本音でぶつかってきてほしい。
本心を知りたい。真実を教えてほしい。

常に世間の耳目を集めるグローバル大企業じゃないのですから、
時々間違っても、言い過ぎちゃっても、ちゃんと向き合って想いを伝えることが大切だと思います。

私は丼勘定だった原価計算の体系化や値上交渉のコツ、
成行き的な工程管理について多少お手伝いはしましたが、
現場の方々の「自分事化」の力によって、ほとんど自動的に解決していきました。

現場ともコミュニケーションを十分に取り、
改善意欲を引き出して有益な意見をたくさん集め、
実行できるアクションプランとしてまとまっているので、
社員さんも自律的に動いていける
んだと思います。

来年、再来年とさらに飛躍していくのが楽しみです。

 

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