「経営理念が浸透しない」
「経営理念を浸透させたい」
そんなお悩みはウチの社長だけかと思っていた会社員時代ですが、
世間に出てみると、そんな悩みだらけだということを痛感しています。
どうしたら浸透するか、の前に
なぜあなたの会社の経営理念が浸透しないのか、考えてみます。
スルガ銀行に学ぶ企業理念・ビジョンと現場の乖離
こんにちは。中田麻奈美です。
池井戸潤さんの大ファンの私が目を離せない
リアル銀行汚職ドキュメンタリー、「スルガ銀行の調査報告書」
「43名から職務用携帯を回収しようとしたが、1名は携帯電話の提出を拒否したため~~」なんてくだりは、どんだけヤバイ携帯だったのかと、ドキドキします。
前回、スルガ銀行にも立派な企業理念と長期経営ビジョンがあったことをお伝えしました。
そうです。
「夢先案内人」
人生やビジネスのあらゆるシーンで、本当にお客さまのお役に立てる存在。
「ライフ アンド ビジネス ナビゲーター」として、
お客さまの<夢をかたちに>する、
<夢に日付を>いれるお手伝いをしていきます―
なんでやたらと<>を多用するのかな?
なんてどうでもいい疑問が湧きつつ、
応援していた<夢>が
“シェアハウス経営でウハウハ”みたいな<夢>だったんか…
とやるせない気持ちになりますね。
それも、身の丈に合わない借金で建てたシェアハウスで。
判明しただけで、アヤシイ業者がらみの物件は1,000件くらいあります。
うち、第三者委員会が不正が疑われるとした案件は2014年以降で795件です。
普通に考えて、シェアハウスなんて特殊なものが、
そんなにこぞって建てるほど需要があるとは思えません。。
本当のライフ&ビジネスナビゲーターなら、
「その<夢>、ちょっと待った!」と止めなきゃいけないところです。
どこにナビゲートしてくれたんだってハナシです。
もちろん、コンプライアンス委員会もあり、
コンプライアンス・プログラムは毎年取締役会に付議され、
価値観の理解浸透・コーポレートガバナンス研修もあり、
内部監査体制も整っており、
リスクアセスメントについてもきっちり決めごとがありました。
当然、社外取締役も監査役もそろっていました。
社外的に見れば完ぺきです。
とても地方の中小企業が太刀打ちできる体制ではありません。
さすが、銀行様様です。
しかし、現場はまったく真逆のことをしていました。
この乖離がどうして起こったのかを考えなければなりません。
ホンネの経営理念は「数字を作れ」だった
なぜ現場が暴走したのか。
それも、下っ端のチンピラもどきが隠れてコソコソやりやがったわけではありません。
執行役員自らが強烈なパワハラ壁ドンを繰り出し、
恐怖政治を敷いて、全社的組織的にやっちまいました。
それって、それこそが答えですよね。
それがホンネの裏経営理念だったから。
11人もいた取締役が、全員現場の異常に気付かなかったはずはありません。
本気で気づけなかったとしたらアホです(失礼)。
直接不正を指示していなくても、
そういう人間を専務執行役員に取り立てたというのは、
それだけで現場へのメッセージになります。
いくら紙の上にはキレイごとを並べていても、
経営トップ自らが、それを本気で信じていなかったんですね。
本当の信念は別のところにあった。
大きな会社だから、ではありません。
中小企業の経営理念研修でも、上司としてコメントを求められた取締役が、
「まあ、建前は建前としてですね~~」と言ってしまう場面がありました。
(私の経験です。。。)
経営陣が本気で理念を全うし、ビジョンを実現したいと思っていないのに、
どうして社員が目をキラキラさせて実行できるでしょうか。
そんなご都合主義、小学生でも騙されません。
経営理念が浸透しないたった一つの理由は、
それが経営陣にとってのほんとうの理念ではないから。
ホンネの理念しか浸透しません。
そしてそれはブラックなものであっても、浸透します。
耐えられない人は辞めていきます。
浸透した理念は強いです。
忖度する日本人は、自然と自律的に動き出します。
件の専務執行役員も、暴君のように振る舞い、社員を締め付けましたね。
「そうしろ」と明確に指示があったかなかったか分かりませんが、
少なくとも専務ですから、個別具体的な案件についていちいち指示はなかったでしょうね。
彼を動かしていたのは「数字を取れ」という信念。
それに向かって考動した結果です。
まとめ
・経営理念が浸透しない理由は、それが本当に経営者の信念ではないから。
・ホンネの理念しか浸透しない。
・ブラックな理念も、ホンネなら浸透し、自ら考え行動する現象が起こる。