こんにちは。中田麻奈美です。
くすぶっていた経団連の就活ルール問題が、廃止の方向に動きましたね。
15日に経産省、文科省を含む協議が行われるようですが、
ほとんど今の枠組みが緩やかに維持されるのではないかといった予測が優勢のようです。
当事者である2021年卒の学生さんには気の毒ですが…
ただ、このまま売り手市場が続くのであれば、
氷河期世代の私から見ればうらやましい状況に変わりはありません^^;
今後は通年採用に移行する?そのとき地方中小企業は?
問題は、地方の中小企業の採用活動が、ますますやりにくくなること。
どうなるのか、始まってみないと本当のところは分かりませんが、
大企業が早くから内定を出し、学生は複数の内定を維持したまま進級していき、
いよいよ卒業間近になってから意思を固める(内定辞退をする)という流れも考えられます。
今でさえ、内定者の3割しか入社しないとも言われる中小企業は、
何人に内定を出せば、希望数を満たせるのかますますわからなくなりそうです。
また、通年採用が定着したら、1年中採用活動をするための人員やコストなど、中小企業には負担が大きすぎる問題も出てきます。
何からどう手を付ければよいか、途方に暮れてしまいそうです。
定着する仕組みがなければ採用する意味がない
しかし、よく考えてみてください。
どんなに頑張って採用しても、定着率が悪かったらマッチポンプです。
どんどん人が辞めちゃうから、と焦って「誰でもいいから誰か…」と採用しても、
育てる仕組みも定着するための工夫もなければ、またすぐに辞めてしまい、
底の抜けた柄杓で水をすくうような「船幽霊」状態になります。
こんな事例がありました。
ある会社では、事務のパートさんが全く定着しませんでした。
気丈なパート1名でほぼ仕事を回していましたが、
頼りにならない上司と前時代的な仕事の流れ、理不尽なクレーム対応、
何もかもがビックリですぐに辞めてしまいます。
3日で辞める、それも私物のコーヒーカップを残したまま忽然と消える、
もはや名前も覚えきれないくらい人が入れ替わっていました。
そこで、1人頑張っていたパートさんを社員に昇格し、
事情をよくよく聴いて仕事の回し方、ルールを明確化しました。
上司の首をすげ替え、良好な職場環境を作りました。
基幹システムも入れ、業務自体も効率化しました。
そうして、今では固定メンバーが定着し、数年が経過しています。
またある現場では、やはり事務のパートさんが定着しませんでした。
みな喧嘩別れのような形で飛び出していくのです。
古参の女性社員とうまくいかない人は次々と去り、気に入られた人だけがなんとか生き残っている状態でした。
ある人が辞めた後、机の引き出しを開けると、
お土産などであげたお菓子が手つかずでそっくり残っていたといいます。
そこまで拒否感があったなんて、ちょっとゾッとしませんか。
人材育成は仕組みでつくる
1人1人に合わせた人材育成はとても大切です。
しかし、そこまできめ細かにフォローできる人材の余裕もまた、中小企業にはないでしょう。
なにしろ長野県企業の人材育成の悩みトップ3は、
- 育てる時間がない
- 育てる人がいない
- マニュアルがない
です。
人事部も、体系化された教育システムもない、そんな企業をたくさん見てきました。
でも大丈夫、私自身もそんな会社で人材育成の仕組みを作りました。
全くタイプの異なる新入社員を、2人同時にイチから育てる経験を通じて、
勝手に育つ仕組みにたどり着いたのです。
マニュアル人間という響きは良くないが、マニュアルは必要
仕組み化というと、マニュアル化という匂いがしてくる方もいらっしゃるかと思います。
今ドキ、マニュアルに頼る人材育成なんてまっぴら、
型破りな新人に活躍してほしいという方もいらっしゃるでしょう。
しかし、少なくとも新卒中途に関わらず、初期の育成にはマニュアルが必要です。
とくに新卒が驚いたことトップ10には、
- 仕事のマニュアルや説明がない
- データに基づかないアナログな判断が多い
がランクインしています。
定着の最低限の条件として、マニュアル化できることはマニュアル化を、まずはおススメしています。
それは、現行の仕事の流れを見直すことにもつながるからです。
まとめ
・経団連の就活ルールは廃止されるが、一定の枠組みは政府から示される予定。
・焦って採用する前に、今いる人財の定着の仕組みをつくる
・今の仕事の流れを見直し、定着率を高めるためのマニュアルをまずは作ってみよう