「気働き」ができる子とできない子の差は?

長野県の方言ではないと思うのですが、「気働き」。
他県にいる時はあまり聞いたことがありませんでした。
ようは「気が利く」「気遣いができる」という意味ですね。

今日は、「気働き」ができる事例とできない事例、両方をご紹介しながら違いを考えます。

 

さりげなく全身全霊で先を読む

先日私は運悪く、というか間が悪いのか、
客先からお暇する際、助手席を開けてバッグを放り込み、
ドアを閉めた瞬間、ロックがかかってしまいました。

当然外からは開けられません。

キーだけでなく、カバンごと車の中ですから、
財布も携帯も何もかも閉じ込められ、
手ぶらで車外に取り残されてしまいました。

4時間もお話していたお客様をまた呼び戻して対応をお願いするのも気が引けます。

困って周りを見渡すと、目の前が車検&板金屋さんです。
もしかしてロックも開けられるかと一縷の望みを託して飛び込みました。

しかし、最近の車のキーは、昔みたいに外から開けるのは難しいとのこと。
こちらではどうしようもないと言われてしまいました。

落胆する私に、「車の任意保険で鍵開けを賄えることが多いですよ。保険会社はどこですか?」と聞いてくださいました。

保険会社の名前を伝えるとすぐに調べてくれ、
「やっぱり、任意保険に鍵開けサービスついてますね。この電話を貸しますからかけてみてください。」
と電話まで貸してくれました。

 

電話でやり取りする私の会話を、別の若い女性スタッフは、
さりげなく、しかし注意深く聞いてくれていたのでしょう。

携帯も持たない私が連絡先を訊かれて困っていると、
いくつもの店舗の電話番号が書かれている会社の封筒を自席から持ってきて、
うちの店はココだよと指差して教えてくれました。

 

実は私はこのお店の車検のお客でした。
何度も板金・修理も利用しています。

しかし、大きなお店なので、顔見知りのスタッフは見当たらず、ここまでの対応は私が顧客であることを知らないでやってくれたことです。

 

その後もずっと、鍵開けサービスの業者さんが来るまでお店で待たせてくれ、
鍵開けのスタッフが来たときもすぐに案内してくれました。
笑顔で飲み物も勧めてくれました。
恐縮がる私に、「よくあることですよ。」と微笑んで励ましてくれました。

 

私がなんで困っているのか、
今保険会社と電話していて、次に何が起こるのか、
常に先を読んで対応してくれ、私が気まずい思いをしないように、
帰るまでずっと「気働き」をしてくれていました。

もう、車検、絶対浮気しないですよね。

実は修理の対応をしてくれた男性スタッフも本当に気持ちいい方でした。
派手にぶつけて凹んだ車を、少しでも安く修理できるように
手を尽くして取り計らってくれて、実際見積もりよりだいぶ安く済んだのです。

 

もう、車のことはすべてここにお任せしたいですよね。

 

「●●はありますか?」「ないです」「…」

 

一方、別な事例では、店長がスタッフの想像力の低さに嘆いていました。
「●●はありますか?」と尋ねるお客様に、
「ないです。」とあっさり帰してしまう。

そうではなくて、
「いつ入荷します」「ご予約しておきましょうか」
等とお声がけしてほしい。

 

この店長は、単に売上のためだけに言っているのではないと思います。
お客様は、●●を求めてわざわざお店にいらっしゃった。
そのニーズにお応えしたい、お困りごとを解決してあげたい、
ということなんだと思います。

それができないのは、まだ若いとか慣れてないとか、性格の問題でしょうか。

 

人に興味があるかないかで「気働き」に差が出る

 

件の車検屋さんも、スタッフは若い女性でした。
若いから気が利かないという理由は当てはまりません。

車検屋さんでは、修理のスタッフも窓口のスタッフも「気働き」のできる人たちでした。
もちろん最初に応対して電話を貸してくれた責任者らしき男性もそうです。
個人の性格という理由はあてはまりません。

この違いは、「人に興味があるかないか」で決まると私は思います。
車検屋さんの例でいえば、1円にもならない客なんて冷たくあしらうこともできたはずです。
もちろん、最近はあることないことSNSに書かれて評判を落とすといけないので、
訳わからない客にも優しく対応する時代かもしれません。
しかし、ことさらに気配り目配り思いやりで接する必要は、ないと言えばない。

この店舗は、みんなが「人に興味がある」状態を作れているのだと思います。
人に焦点を当て、人のために気遣い、人のために動いて、人に喜んでもらうことに価値を見出しているんだと思います。

素晴らしい社風です。

 

この会社の理念は、
鮮やかに想像し、熱烈に望み、心から信じ、魂を込めた熱意を持って行動すれば、何事も必ず実現する。

ミッションは、
私たちの商品は満足感です!

行動指針は、
それでお客様は満足していますか?

バリューは、
WOW!感嘆のサービスを届ける

 

※ほんの一部です。

 

これを読んで、心から納得しました。

この価値、確かに受け取りました。

 

正直に言います。

 

私は企業理念を、後から調べました。
「人に興味がある」状態を作れているんだね、と書いてから調べました。

…行き当たりばったりで記事を書いてます(笑)

 

こんなにキレイにはまるのも珍しいです。

2度感動しました。

経営理念が現場の隅々まで浸透し、全員がその行動指針にのっとって、
ミッションを果たし、バリューを届けている会社。

その時点で客かどうかも分からない気の毒なロックアウト女にまで。

 

車検のコバック様、恐れ入りました。

 

 

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