以前、経営改善計画書は他人任せでなく、自分の言葉で書くことが重要だとお伝えしました。
最後は熱量です。
この経営改善計画書、これといった問題もないのに策定する会社は殆どないと思います。
資金繰りや借入金の返済に問題を抱えた企業等が、リスケのために、つまり銀行に条件変更をお願いするために書くことがほとんどでしょう。
問題は、経営理念と同じく「作って終わり」になってしまっていないか?ということです。
目的が近視眼的な条件変更や返済猶予になってしまっていると、
本質的な改善が進まないパターンに陥ります。
今日は経営改善計画書の本当の活かし方について考えます。
経営改善計画で社員を脅していたら辞められた件
昨日ご訪問した企業様は、経営改善計画策定後、計画1期目から大幅に実績がずれてしまっていました。
事業構造の再編成や社内の体制変更もあったので、
それを加味した新しい計画策定、練り直しをご提案したところ、
「今まで経営改善計画は社員を脅すためだけに使っていた」とおっしゃいました。
「会社は今こんな状態ですよ、あんたたちが頑張らないとヤバイよ」というプレッシャーを与えるために使っていたというのです。
アクションプランまでは見ていませんが、おそらくかなりゴリゴリの、数字ありきの押し付けになっていたのではないでしょうか。
社員が自ら考え行動できるようなワクワクするビジョンではなかったのだろうと推察されます。
銀行を納得させるための数字作り優先、アクションプランは後付けのこじつけ、
そして大いにありうるのがアクションプランが抽象的であいまい。
自分たちが心からコミットできる、明日から具体的に行動できるプランではなかったのではないでしょうか。
こちらの会社は、それが直接の原因かどうかは不明ですが、
腕の立つ幹部に抜けられてしまいました。
この人手不足の折、腕のたしかな職人を引っ張ってくるのは容易なことではありません。
お客様ごと引き抜かれ、売上に影響する可能性大です。
今後、彼が担っていた事業は縮小・外注頼みでしのぐほかありません。
経営改善計画の本当の目的は、軌道修正してビジョンを達成すること
経営改善計画を策定しなければならない状況というのは、
当初予定していた未来ではないと思います。
そんな可能性もあるということを織り込むことはあっても、
経営改善が必要な状況を目指して経営することはあり得ないでしょう。
もともとの経営計画や事業計画では、別の未来を描いていたはず。
であれば、経営改善計画書を策定する本当の目的は、
描いていた本来の未来に再び向かっていくための軌道修正をしていくことだと思います。
リスケはそのための手段でしかないはずです。
つまり、経営理念を見つめなおし、事業を見直し、ビジョン達成への道筋へ『リルート』するために、金融負担を一定期間減らしてもらおうということが趣旨のはず。
しかし、とにかく返済を猶予してもらおうということが第一の目的になってしまっていると、モロモロのアクションプランが辻褄が合わないものになりがちです。
結果、計画と実績はズレて、「経営改善」は図られないということになってしまいます。
事例企業様は、会社の「ヤバい状況」は情報共有できていたにもかかわらず、
社員の不安を煽り、プレシャーをかけるために経営改善計画を使っていました。
いい時も悪い時も一緒に頑張ろうという一体感を醸成できず、
逆に右腕だった幹部を失ってしまいました。
今後の計画練り直しにおいては、経営改善計画の本来の目的に沿って、
社員全員が一丸となって目標に向かっていける体制を作っていければと思っています。
経営改善計画が必要な状況の方はもちろん、そうでない方も、
あるべき理想の姿を共有し、社員みんなで理想に向かう道を探し、
アクションプランを一緒につくってみませんか?
ナカミ創研では、社員全員が参加するビジョン策定やアクションプラン作りもサポートしています。
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