SDGsで考える全体最適と部分最適

 

近年ちょこちょこ聞くようになったSDGs。
去年くらいから新聞等でもかなり露出が増えているように思います。

長野県でも、今春「長野県SDGs推進企業登録制度」が始まり、
説明会には多数の企業が参加した模様です。

カラフルな17色の円グラフのようなマーク、SDGsのバッヂを付けた人を見かけることも多くなったと思います。

持続可能な開発目標…なんとなく言わんとしていることは分かるけど、
人に説明できるレベルではないため、四の五の言わずにまず体感してみようと、
私も個人的に「SDGs de 地方創生ゲーム」に参加してきました。

!!この先ネタバレ注意、まっさらな状態でゲームに臨みたい方は読まないでください!!

SDGs カードゲーム

 

まずはSDGsの定義からおさらいしましょう。
SDGs:Sustainable Development Goalsとは、
2016年に国連サミットで採択された、2030年までの持続可能な開発目標であり、
17のゴール(目標)と、169のターゲット(具体策)から成ります。

ここまでは聞いたことがある方も多いのでは?

SDGsは地方創生に限ったことではないのですが、
今回の「SDGs de 地方創生ゲーム」は、地方創生をメインテーマにしたカードゲームです。

「2030 SDGs」という包括的なゲームとの違いは、
2030が世界をテーマに、世界中の人が様々な文脈で使える抽象度高めのカードを使うのに対し、
地方創生版は、実在する日本の自治体の活動がモデルになっている具体的なカードを使うところです。

今回は12名のプレーヤ―を、4名の行政職員と8名の民間人という役者に分けました。

民間人は、商店主、観光業者、一次産業従事者、エネルギー事業者…etc.
様々な立場があります。

各役者には、自分の個人的プロジェクトのカードと予算が配られます。
各役者はSDGsの17のゴール(目標)のうち、どのテーマのプロジェクトをいくつ達成しなければならないかが定められています。

同じテーマのプロジェクト4つ、という役者もあれば、
3つのテーマのプロジェクトを合計で6つ以上、という役者もあります。

配られる3枚のプロジェクトカードのうち、1枚はその役者固有のプロジェクトですが、
他2枚はランダムなプロジェクトで、他の人が達成すべきものも混じっています。

また、プロジェクト達成には、リソース(研究者、営業・マーケター、自治会、自治体の長、地方議員、歴史の生き証人…等の人材)が必要です。

当然、予算も必要ですし、見込める収益も違います。

各々がプロジェクトやリソースを交換したり、予算を分け合ったり、行政から予算をもらったり、
実際の社会と同じように交渉して、自分が達成すべきテーマのプロジェクト達成に必要なリソースと予算をかき集めます。

行政役は、「人口」「くらし」「環境」「経済」等の指標が増えることがゴールとして与えられます。

しかも、地方創生がテーマなので、毎年必ず人口指標は強制的に減らされます。

12分間で3年分、というのが1ターンで、それを4ターン繰り返します。
1ターン(3年)ごとに行政指標を振り返り、個々人のプロジェクト達成度を確認し、
行政には予算が追加されるというルールです。

最終的には、全員がプロジェクトを達成し、行政指標も増えていれば成功です。

SDGs de 地方創生

 

部分最適に陥ると理想の社会を実現できない

 

全員初めてだったこともあり、最初の1~2ターンは訳も分からず自分のプロジェクト達成のためにみんなが動きました。

達成が簡単そうな、低予算&手持ちのリソースでできるものから。

プロジェクトを達成すると、次のプロジェクトとリソースがもらえます。
収益が見込めるプロジェクトの場合は、お金もゲットです。

次のプロジェクトやリソースの配布もランダムなので、
自分が達成すべきテーマのプロジェクトとは限りませんし、
求めているリソースが来るとは限りません。

そして、このゲームのミソは、プロジェクト達成が行政指標にどんな影響を与えるか事前に分からない点です。

自分のプロジェクトを達成すると、「人口が減りました」とか、「経済は増えたけど環境が減りました」ということが起こってきます。

そして、追加されるプロジェクトは「人口指標5以上」「くらし指標7以上」などの条件付きになり、行政指標が少ないと実行できないのです。

自分の目の前のプロジェクト達成につい集中してしまうと、
「観光客は増えることが期待されるが、渋滞で住民のくらしが不便になる可能性がある」といったマイナス面をスルーしてしまいがちです。

すると私のプロジェクトは達成できたけど、くらし指標が減ってしまい、他のプロジェクトが実行できないということが起こります。

まさに、部分最適に陥って理想の社会を実現できなくなってしまうのです。

 

対話による情報共有、ビジョンの共有が全体最適を生む

 

最終的には、私たち12名は個人プロジェクトの達成率も高く、
行政指標も、毎年強制的に減らされる人口をキープしながら、
くらし、環境、経済の指標も増加させることが出来ました。

3ターン目で徐々に行政指標への影響を考えながらプロジェクトを選ぶようになり、
互いのプロジェクトの情報を、それが与えそうな影響を含めて対話によって共有するようになりました。

4ターン目にもなると、全員が行政指標アップという共通のビジョンを持って動き、
やらないほうがいいプロジェクトをやらない決断をしました。
「経済は増えるかもしれないけど、くらしが減りそうだから止めとこう」
「Aのほうが収益は見込めるけど、人口が減りそうだからBにリソース投入しよう」
「環境があと1つ増えたら、Cプロジェクトが実行できて、人口が増えそう」
「じゃあ、Dプロジェクトが環境増えそうだから予算集めよう」

こんな意識、会話が自然と生まれて、最後はアツい達成感を共有できました。

 

 

SDGsは指示ゼロ経営と同じコンセプトだった

SDGsは、「地球上の誰一人として取り残さない」ことを誓っています。
「一人も見捨てない」という指示ゼロ経営の根幹と同じです。
「一人も見捨てないことが、結局1人1人にとって一番得になる」
「一人も見捨てないことが、全員の夢を叶える一番の近道」

競争ではなく、共創でよりよい社会を創る。
目の前の小さな損得という部分最適ではなく、集団が全体最適を勝手に創り出す。

現実の世界でも、行政と民間の垣根を越えて、様々な利害関係をもつ個人同士の分断を越えて、
SDGsの17の目標を全員参加でクリアできたら…と願わずにいられません。

是非、次はあなたもゲームに参加してみてください!
ご興味ある方は公認ファシリテーターをご紹介しますよ^^

 

 

 

 

 

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