私が中小企業診断士になった理由~その3

名刺交換のたびに多くの方に聞かれる、
「診断士って何する人?」
「で、あんた、どんな仕事してるの?」
「なんで中小企業診断士になろうと思ったの?」

シリーズでお伝えしている、「私が診断士になった理由~その3」です。

その1はコチラ
その2はコチラ

今回は、診断士を目指すきっかけにもなった新卒研修を舞台に、
人材育成に目覚めた私の研修カリキュラム作りのコツを公開します!

 

新卒を90日で自分の代役に育てる!カリキュラム作りのコツ

 

リーマンショックからの不景気を口実に(!?)
採用を抑制していたため、開発課の1人部署時代が数年続きました。
初めての新卒新入社員を迎えたものの、私の産休が8月に迫っており、
実質90日で自分の代役を育てなければならなくなったのは前回までにお伝えした通りです。

開発課は、おおまかに企画・設計・試作・実機製造ラインへの落とし込みが主な仕事です。

このほか、原料調達や各種調整(工場の各工程責任者への説明やミーティングの主催)、経時変化の確認や賞味期限の設定、原料メーカーや商社など来訪客への対応もありました。

これまでは、まず現場2週間~1か月で工場の様子や作業を覚え、
その後は配属部署にて完全OJTでの育成でした。

工場が2か所あったので、開発課と品質管理課は、通常であれば第2工場でのライン研修も入ります。

しかし、今回のゴールは、産休までに本社工場で私の代役を果たせることです。

第2工場の研修は、引継ぎが終わって落ち着いてから必要に応じて行ってもらうよう上司に交渉し、本社での研修日程を確保しました。

ここで私自身の育休復帰研修の経験が役立ちました。

最初に工場に一定期間研修に入ると、目的が不明確になり、見るべきポイントも分からないまま、ひたすら目の前の作業をパートさんに怒られないように(!)こなすことが最優先になってしまいます。

そこで、最初の工場研修はサッと工場の風景を見慣れ、おおまかな製造の流れのイメージをつかむ程度で切り上げ、その後は試作研修に入りました。

作業としての試作を教え、道具や器具の使い方、収納場所、計量の仕方を覚えてもらいます。

配合表の作り方や原価計算のやり方も大切な手順のひとつ。

試作をやりながら、製造頻度の低い製品を流しているときは、チャンスを逃さず現場研修も随時はさんでいきました。

 

来客やミーティングも必ず同席させ、飛び交う専門用語はあとで解説しました。

自分が、その場で聞くのもはばかられて分かったふりをしているうちに、ミーティング終了後には分からなかったことが何だったか分からなくなる繰り返しだったので、その反省を踏まえての教育です。

 

ひととおり試作に慣れたところで、再び現場研修に戻しました。

試作でやったことが、工場のラインで実際にどう流れているのか確認するためです。

 

試作室では、手をかければある意味何でもできてしまう。
しかし、実際の現場では、溶解や攪拌が非常に難しいものもあります。

ハンドメイドで1~2㎏の製品を作るのは容易ですが、
600㎏にスケールアップした時、どんなオペレーションになるのか?

現場の作業性も考慮した工程設計の目線を持つための研修です。

 

また、よくあるトラブルの原因と対応策も、その場で実際に見てもらうことで、
設計時にどうすればトラブルを防ぎ、現場の負担を軽減できるのかを考えさせました。

 

行き当たりばったりはNG!見える化で目的とゴールを明確にする

 

ここでのコツは、
何度も現場と試作を往復し、分からないことが何なのか分かってもらい、
分からないことをクリアにしていったことです。

 

面倒でもチェックリストを用意し、抜け漏れなく指導できる仕組みを作ること

私自身が受けた研修は、スケジュール(何月何日の午前中はどこのラインに入る)だけで、
そこで何を学ぶべきなのかは明示されていませんでした。

「工程を理解する」程度のことしか書いてなかったのです。

とりあえず現場に放り込んで、あとは現場に丸投げ。
どういうことを身につけさせたくて、どんな教え方をしてほしいのか、指示はありませんでした。

だから、ほとんどの工程で、研修生は単なる単純労働の一時的な補給に過ぎず、
パートさんに作業のやり方を教わるだけに終わりました。

もちろん、それも必要なことです。
人間関係作りにも役立ちます。

 

しかし、最短で、90日で開発課社員として自分の代役を育てると考えたとき、
あれもこれも、知っていたほうがベターなことを全部盛り込む余裕はありません。

絶対に外してはいけないポイント、マストなことだけに絞り込み、マストを徹底的に繰り返し教えました。

 

「今日はコレを見てきてね」
「ココを身につけたいから、このプログラムを入れたんだよ」という趣旨説明は、
何度も繰り返し丁寧に伝えましょう。

これは経営理念の浸透でも同じことです。

 

「言ったでしょ」はNG。
言ったのに伝わっていないのなら、伝え方が悪いのです。

伝えるのではなく、伝わる。

その工夫をしているのかが問われます。

 

日々の研修後には、教育訓練記録をつけさせて、
何を学んだのか、自分の言葉で言語化してもらいました。

短期間で繰り返し復習するほうが、最後まとめてテストするより記憶の定着率が高いからです。

 

こうして怒涛の90日が過ぎ、万全の態勢で引き継ぎを完了した私は、安心して産休に入ることになるのですが…

新たな問題発生については、また次回お伝えしましょう。

 

まとめ

・研修カリキュラムは、仕事本来の目的から逆算して作る。

・一度に全部教えず、今回の目的・ゴールを定めて必要最小限に絞る。

・日々のステップはチェックリストで明示して見える化し、抜け漏れや教え過ぎを防ぐ。

・仕事全体を見せてから部分へ。丁寧な趣旨説明を忘れずに!

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

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