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経営理念が浸透しないリスク

こんにちは。
企業不祥事が起こるたびに、その企業の理念を読んでいる中田麻奈美です。

わが長野県の県庁や市役所、図書館など…
続々とKYBのオイルダンパー品質不正の該当物件として発表されています。

一言でいうと、残念です。

そして、どれほど巨額の損失を計上しなければならないのか、
どれほど長期にわたって交換し続けなければならないのか、
この企業が払う犠牲の大きさを考えるとめまいがします。

不安を感じながら過ごされている被害者の方々の憤りも気の毒でなりません。
とくに制振用では大掛かりな工事になり、今後相当な不便を強いられるのですから…

 

KYBのポリシーは、「品質経営」だった

 

話題のKYBにも、もちろん経営理念がありました。

人々の暮らしを安全・快適にする技術や製品を提供し、社会に貢献するという決意の下、
3つの文言があります。

・高い目標に挑戦し、より活気あふれる企業風土を築きます。

・優しさと誠実さを保ち、自然を愛し環境を大切にします。

・常に独創性を追い求め、お客様・株主様・お取引先・社会の発展に貢献します。

 

ちなみに”独創性”は創業以来の「独創開発の精神」からきていると思われます。

開発に携わった名古屋大学教授の福和先生の記事では、
開発者たちは本当に優秀な技術者で、熱心に開発に取り組んだことも紹介されています。

本当の意味での「独創開発の精神」も生きているのだと思います。

これまで一途に素晴らしい製品を生み出してきたことも事実なら、
「独創的な不正検査」をはたらいたことも事実。

また、理念の下には4項目からなる経営ビジョンも示されています。

・人財育成
・技術・商品開発
・モノづくり
・マネジメント

何が書いてあるかは、およそご想像のとおりです。

 

経営理念が浸透しないのではなく、ホンネの理念が浸透するだけ

私が注目したいのは、人財育成の経営ビジョン

「方針や戦略を深く理解し、情熱をもって目標を完遂できる人材を育成する」とあります。

皮肉なことに、このビジョンだけは、少なくとも検査員に対しては達成していました。

「安全より利益を取る」
「誠実さより目の前の仕事をラクに片付ける」
そういったホンネの方針や戦略を深く理解し、忖度したのかもしれません。

報道の論調は、比較的現場の検査員に対して同情気味です。
生産量にかかわらず、ずっと検査員1名体制で負担を強いていたからでしょう。
口伝の品質不正ノウハウが連綿と受け継がれてきたことも報じられました。

ただ、同じ状況なら同じことが他の会社でも起こるかと言えば、大いに疑問です。
不正を指示された時、何の違和感もなく従う人ばかりではないはずです。

不正が始まってからこれまでで8名の検査員が関わったということですが、
8名とも不正を受け入れるのは尋常ではありません。

個人の資質の問題では片づけられないと思います。

 

件の大学教授は、「開発者がいくら立派でも、会社のすべての人たちに倫理観や責任感が無ければ、製品の性能は保てない」と言っています。

 

会社のすべての人たちに倫理観や責任感を持ってもらえないとしたら、
そのような人材育成の仕組みがないことを意味します。

 

「現場主義に徹した緊張感ある工場にします」

そのビジョンを心から実現したいと思っているのなら、
検査員1名体制という無茶ぶりはあり得なかったでしょう。

 

不正を見抜けないチェック体制の甘さだったのか、
不正を上層部も承知だったのか、
真実は分かりませんが、「緊張感のある工場」でなかったことは確かです。

 

まとめ

経営トップが心から信じていない理念、お飾りの理念、

そんなものは絶対に浸透しません。

そして、経営理念が浸透しないことは、経営上のリスクなのです。

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