働き方改革のためのマニュアル化と指示ゼロ経営

今日は(一社)長野県経営支援機構の仕事で、
6次化事業計画作成研修のお手伝いをしてきました。

若く意欲のある方、移住者の方、外から地域の魅力を掘り起こして素晴らしいビジネスモデルを考えていらっしゃる方、本当に農業の現場も刺激的です。
折しも、12月9日付の信濃毎日新聞でも、農業現場の働き方改革の記事が載っていました。
あらゆる業種で人手不足が進む中、農業は自然相手で労働時間が左右され、
繁閑の差も激しいため、若い人を確保するには、作業効率化やワークライフバランスへの配慮が欠かせないといいます。
他業種にも使える県内農業の工夫について掘り下げます。

 

情報共有で互いの作業を「見える化」

新聞に載っていた事例は御代田町の農業法人ベジアーツ様。
従業員は、あらゆる情報を社内SNSで共有しています。

たとえば、作物の生育状況や作業日誌、機械の管理記録、車輛のカギの保管状況に至るまで、何でもです。
社内SNSの活用で、急な受注の追加や変更にも迅速に対応できるようになったといいます。

このような情報共有の仕組みを導入しようとすると、
「そんなのイチイチ入力してられない」という反発が必ず起きます。

たとえばHACCPでは記録と保管が必須になりますが、
「少量多品種だからイチイチ記録していたら時間がかかりすぎる」とおっしゃる現場ばかりです。

しかし、このベジアーツ様の事例を見ると、車両のカギの保管状況まで入力したほうが、結果的に入力の手間を超えるメリットがあることが読み取れます。

自ら考え動くためのマニュアル化

また、ベジアーツ様では、従業員が自分の役割を正確に理解し、自ら考え動くためにマニュアル化を推進しているそうです。
「マニュアル化」と聞くと、受け身の指示待ち人間になりそうな負のイメージを持つ方が多いですが、
まさに私が言いたいのも「自ら考え動くためのマニュアル化」です。

作業そのものはどんどんマニュアル化して指導者の労力を省き、
教わる側の吸収効率を高め、アウトプットの品質の均一化を進めたほうがいいと考えます。

実際、ベジアーツ様では作業ミスで生じる無駄が減り、誰が休んでも誰でもカバーに入れる体制が作れているようです。

 

指示100と指示ゼロはどちらが効率的か

さらに面白いのは、ベジアーツ様でこのような働き方改革が進んだのは、
社長が右腕不在で苦労されたことがきっかけだということ。

以前は、繁忙期だけアルバイトを雇い、社長が現場で直接指示を出していた、いわゆる「指示100」状態だったそうです。
しかし、意思疎通が不十分で収穫が遅れるなどの弊害が出て、上記のような取り組みをすすめ、自律型組織になってきていることが分かります。

その結果、何が起こったか?

繁忙期の1か月あたり実労働時間は300時間から219時間へ減少し、
入社3年後の定着率は50%から75%に上昇。

やはり、社長が1人1人に直接指示を出す組織よりも、
集団が自律的に動く組織のほうが効率が良く、居心地もいいことが分かりますね。

「指示ゼロ経営」は米澤晋也さんが提唱している経営手法です。
当研究所は米澤さんの許可を得て「指示ゼロ経営」という言葉を引用しています。

指示を出すより、指示ゼロのほうが正確で速い意思決定ができることを体感していただけるワークもたくさんあります。

ご興味のある方は、是非お問い合わせください。

 

 

 

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