このHPは長野県後継社長専門の社員教育サポートセンターとして発信していますが、
私は支援機関の動く相談窓口として長野の中小企業を駆け回ってもいます。
人対人なので、当然相性がいい場合もよくない場合もあります。
私の力量が足りていない部分も当然たくさんあります。
その場合は、その分野ができる誰かにおつなぎしたり、ご紹介したり、
後で調べて折り返したりするわけですが。
それでもやはり、1人でできることは限られています。
仲間との協業、共創がとても大切だなと思うのです。
だから私は遠慮なく「助けて」と言います。
「こんな相談あったけど、誰か●●について知りませんか?」とか、
「こんな商品だけど、どう思いますか?」とか。
支援者として、私たちはどうあるべきか考えました。
正論でゴリ押ししても共感できない
実はあまり知られていませんが、国や県は様々な中小企業支援策を用意していて、
似たような専門家派遣制度がいくつかあります。
相談企業様から見れば、どの制度でもどの支援機関でもいいから、
的確な解決策を示してほしいだろうなと思います。
でも本当は、解決するのは支援機関ではありません。
私たちにはせいぜい、絡まった問題をほどいて、いくつかの選択肢をご提案することしかできません。
実行するのは企業様です。
支援機関が行動して結果を変えることはできないのです。
当たり前の話ですが。
だからこそ、「よし、やってみよう」という前向きな気持ちになっていただくことが私たちの一番大事な仕事ではないかと思っています。
こんな事例がありました。
ある企業に支援機関の人がやってきて、
開口一番「この業態はダメだ」と説教されたそうです。
(いや、それは分かってるけど、その厳しい状況の中で何が出来るか相談したいのに…)
「これからの時代は●●だ」と提案されたけれど、
とてもやる気になれずに終わったといいます。
「すごくガッカリして疲れちゃった」と。
たしかに、その業態は厳しいのかもしれない。
これからの時代は●●なのかもしれない。
ぐうの音も出ないほど正論だったのかもしれない。
でも、最初に信頼関係を築けなければ、
どんなにいい提案が出てきても心がブロックしてしまうと思うのです。
※実は「上から目線で腹が立つ」というのは、
よくあるクレームの一つです。
嫌いな人が言う耳障りの悪いことでも、
中身で判断していいものは素直に取り入れる。
それは人として立派なあるべき姿かもしれませんが、
みんな人間だもの。
そんなにいつも強くはいられませんよね。
正論で直球を投げても、相手はバットを持って打ち返してきます。
まずは、キャッチャーミットに持ち替えてもらわないといけません。
人は説得しても納得しても動けない、
心から共感した時だけ行動できるからです。
「いい時間だった」「元気が出てきた」と言ってもらえる支援者でありたい
私たちの仕事は、あらゆる仕事がそうであるように、
「聴く」ことから始まります。
私はとくにコーチングやカウンセリングの勉強をしたことはありません。
その道のプロの方が見たら、「あちゃー」というようなヒアリングをしているのかもしれません。
しかし、とにかく一言一句漏らさず熱心に聴いています。
基本は笑顔を絶やさず、話題によっては悲しみや痛みに対する共感の表情を素直に出します。
目を見て、相槌を打ちながら、メモもかなり取ります。
別に何かを取り繕っているわけではなく、
人の話を聴くのが本当に好きなんです。
だから、気持ちよくお話していただきたいから、
感じよく聞く姿勢は見せようと意識しています。
しかしいくら好きでも、正直、かなり疲れます。
その時は無我夢中なのですが、
初対面の方の相談を受けて何らかの回答を出すというのは、
やはり相当気が張っているんでしょうね。
帰りのクルマでは寝落ちしそうです。
高速道路で気を失いそうになったことも数知れず。。
家では残念ながらスイッチが切れて、夫や子供の話はほとんど聞いていません(笑)
実は、私が直接解決して差し上げられることなどほとんどありません。
決めるのも、実行するのも、私ではないから。
情報提供や、違った切り口のアイデアをご提示するくらい。
「話してたら、頭の中だけで考えていたことが明確になった」
「いや~いい時間だったな」
「元気出てきた。頑張ります」
帰り際、お世辞でもそう言っていただけたとき、
いい仕事したなと思うのです。
そして、実際にそのアイデアであってもなくても、
何らかの行動につながって結果が変わっていくとき、
たくさん行動してたくさん失敗しても次に向かっていくとき、
伴走支援の醍醐味を感じるのです。
中には、「どうでもいいから、最短の成功ルートを教えろ、それがお前の仕事だろ」と食って掛かる方もいらっしゃいました。
うだうだ言ってないで、解決策を示せ。時間の無駄だ。
もちろん、そういう考え方もあるでしょうが、私には応えられません。
そういう方は、もっとマッチョな俺様コンサルに指示命令してもらったほうがいいでしょう。
小さな会社が小さな一歩を踏み出すとき、そっと手を添える存在。
わたしなりの、支援者としてのあり方です。