自分の器以上の仕事を受注しすぎた結果、
HPもブログも完全放置状態になっておりました。
まだまだ納期が迫る仕事をいくつも抱えておりますが・・・
仕事をお受けするなら、それにふさわしい自分の器が必要ですね。
では、「器」とは何でしょうか。
「経営者の器」は先天性のものか、後天的なものか
中小企業家同友会、松本支部の10月例会では、
㈱TB企画の大口社長に報告いただき、私が初めて座長を務めました。
同友会でいうところの座長とは、単なる例会の担当者ではありません。
参加者の経営課題を意識してテーマを決め、
狙いに沿った体現者、たくさん実践している人を報告者に選び、
グループ討論を通じて経営課題の解決に向けた実践につなげる役目があります。
今回は、2代目としてスタートしたばかりの大口さんの実践報告で、
古参幹部と衝突した過去や、取り組み始めた組織改革の意図や苦戦ぶりを聞き、
参加者の皆さんには「経営者の器」について討論してもらいました。
その大口さんの渾身の報告。
2代目として格闘する中で、社長として一皮むける瞬間がいくつかありました。
過去の出来事で信用できなかった幹部から一度は権限を取り上げ、
正論で論破し実績を見せつけることで支配してきた。
だけど自分のやり方だけが正義ではないと気づいた瞬間。
口うるさかった会長も、不足感が目についた幹部も、
会社を良くしようという思いは同じだと気づいた瞬間。
自分は創業者である父と同じになれないし、ならなくていいと気づいた瞬間。
1人で頑張ってるような孤独感で握りしめていたものを手離し、
「べき」「ねば」から解放され、
自分に対して許しを与えられた瞬間でもあったと私は感じました。
それが「楽になったんですよね。」という言葉に表れていました。
経営者としての器は、先天的に備わっているものではなく、
後天的に獲得していく、大きくしていくことが出来るものだと思うのです。
私自身、次のステップに進むには自分の仕事を手離さなければなりません。
1人でやるには限界を超えてきて、常に納期に追われ、睡眠もままならなくなりました。
人に任せるのはとても怖いことですよね。
べつに、自分が誰よりも一番優れていると思っているわけではなく。
自分と違う背景を持ち、自分と違うことを考え、自分と違う行動をする他人に、
裏切られても信じた自分を誇る覚悟で信頼して任せる。
”作業”ではなく、”志事”を任せる覚悟を決める。
自分を手離す。
それができたとき、私の器もひとつ大きくなる気がします。
「違いを認める」ことからスタートして、共育ちしていく器
先輩経営者には、「器ってどんなものを想像する?」と聞かれました。
なんとなく、若手経営者たちは「大相撲の優勝杯」を思い浮かべていましたが、
中同協の赤石さんの表現を借りれば、「伸縮自在の革袋」ではないかと。
環境変化に柔軟に対応して乗り越えていく「伸縮自在さ」と、
大きくなっても風船のように破れない強い「革袋」。
会社には、色も形も大きさも材質も様々な器を持った社員さんたちがいて、
まずは「違う」ということを認めることが大切ですよね。
そして経営指針の実践をとおして、社長の器も社員さんの器も同調して大きくなっていく。
最初は小さな新入社員の器から、そのうち実力が溢れる時がくる。
その時を見逃さずに、次の器を用意してあげる。
いずれは、自分で自分の器を作れるようになったら脱皮できるよね。
私のグループではそんな討論になりました。
報告者の経営姿勢にとことん向き合って人間性に寄り添って見えてきたこと
実は、最初は別のテーマを考えていました。
座長として、人の話を、ある意図に沿ってまとめていく。
しかも、自分でまとめるんだったらラクだったのですが、
報告者から引き出し、導いていく。
いったんまとめてもらったものをプレ報告で幹事メンバーに揉んでもらい、
また足りない視点や欠けているピースを探しに掘っていく。
つなげていく。
どうもしっくりこない、違和感がある、
そこでまた違う角度から整理してみる、
違う切り口から眺めてみる、
そんな繰り返しの中から報告テーマも討論テーマも浮かび上がってきました。
実はそれほど知らなかった彼のナカミを剥いていって、
「それはツライから話したくない」というエピソードまでえぐって、
打合せのたびに方向性が変わっていって、
とことん掘り下げて自分に向き合ってもらう作業でもありました。
報告後、1回目のヒアリングに付き合ってくれた先輩経営者が、
「この1か月で彼はすごく成長したんだよ!」と言ってくださったのが、
座長冥利に尽きる嬉しい一言でした。
彼は今日から、「経営指針をつくる会」に参加して、さらなる高みをめざしていきます。
1年後にどんな話が聴けるか、今から楽しみですね。