「伝わる」を優先したら借り物の言葉はいらなかった

「伝えた」はずなのに、「伝わってない」と感じたことはありませんか?
「伝える」と「伝わる」の違いってなんでしょうか。

「伝える」というと、話し手目線で一方的な印象もあります。
「伝わる」というと、主体は受け手になりますね。

色々な定義があると思いますが、
私は「相手が自分の意図通りに動いてくれた」ときに「伝わった」のだと思います。

もし相手が動いてくれない、全く見当違いの動きをするのであれば、
それは「伝えたつもり」で伝わっていないということ。

では、「伝わる」ように伝えるには、どうしたらよいのでしょうか。

 

丁寧な趣旨説明で伝わる伝達力

まず、目の前の作業を命じるような伝え方があるかと思います。
「この資料を15部コピーしてください」とか、
「この商品を12個ずつ箱詰めしてください」とか。

よっぽどでなければ、ほぼ間違いなく伝わり、間違いなく作業してもらえるような気がします。

しかし、例えば資料の綴じ方や、商品の向きを揃える必要があるか否か等、
本当に自分が意図したとおりに成果物が仕上がってくるかどうかは不明です。

「食品メーカー様に渡す資料だから、クリップやホチキスではなく、
針なしステープラーで綴じたほうがいいな」

「店舗スタッフさんが商品を陳列するときに作業しやすいように、
商品は表ラベルの向きをそろえたほうがいいな」

お願いする側も、される側も、単なる作業として捉えるよりも、
自分の仕事が次の人、最終的にはお客様の所へ届くときのことを考えると、
些細な作業の中にも色々な思惑や、相手への思いやりが込められると思います。
単にモノを右から左に流すのではなく、その先の相手の顔が見える(想像できる)から。

それは、「作業」としてオーダーして勝手に「伝わる」ものではないと思います。
お願いする側が、丁寧に趣旨説明することが欠かせないと思うのです。

そんなのイチイチ面倒だなと考える方もいるかもしれません。
しかし、「やり直すほどじゃないけど、どうも意図したことと違う仕上がりだな」と
違和感があればストレスになるし、結局手直しすることになればロスになります。

最初に丁寧にポジティブに趣旨説明することで、
「聞く」から「聴く」に変わり、「伝わる」
のだと思います。
そして結果的に自律化が起きてくるのです。

 

英語?日本語?自分の言葉で、自社になじむ言い回しを選ぶ

 

前回のブログで、銀行員の心を動かす経営改善計画書のコツをお伝えしました。
「金融機関がリスケに応じる経営改善計画書のつくり方」はコチラ

改善計画も経営理念も、自分の言葉で語るから伝わるのだと。
そして、改善計画や補助金の申請書のような、形式的な外部向けの書類はともかく、
社内には格好つけずに分かりやすい言葉で伝える努力をするべきだと。

やたら名言や格言を引用する社長の想いが伝わらない事例についても触れました。
「音声明瞭、意味不明瞭」状態だったのです。

やたら英語や和製英語を使いたがる社長も同じです。
現場の第一線に立つ社員や学生アルバイトにも分かる言葉でなければ伝わりません。
イメージできない言葉は、言語化できていないのと同じ。
具体的にイメージできなければ、具体的に行動できないのです。
行動しなければ結果は変わりません。
現場の第一線の行動しか、社外からは見えません。
そして、会社のイメージやブランドを作っていくのは、外から見える社員の行動です。

理念を核として、社員が動き、それが表層に表れて外からのイメージが作られます。
ロゴや商品デザインの問題ではなく。

通常、とくに教育しなければ理念とビジョンの区別もつきません。
なんか聞いたことはあるし、ぼんやり意味は分かるけど、
どっちも似たようなものだろう、
普段の自分の仕事には直接関係ないものだろう、という認識が普通です。

人を動かす、つまり「伝わる」状態を作るには、
相手の分かる言葉、自社になじむ言葉で、本音の想いを伝えましょう。

実際、件の経営改善計画書も、形式的には不備もありました。
予想B/Sが丸ごと抜けていたり。
それでも銀行は「うん」と言ったのです。
自分の言葉で伝えたから、伝わった。
相手が、自分の意図したとおりに動いてくれた。

借り物の言葉はいらないのです。

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