理念を浸透・共有するにはどうしたらいいのか?
松本の同友会ではこの頃、常にそのテーマが中心になっているような気がします。
入会して半年ちょっとですが、少なくともその間、理念・ビジョンは話題の中心であり続けました。
それをライフワークにしている私にとっても興味深いことです。
先日、なぜか地元で一言も発したことがない私が、
同友会函館支部の青経未来塾さんからお声がけいただき、
理念の浸透・共有について講演する機会を頂戴しました。
前半、未来塾の新しい理念・ビジョンの発表があり、
今年度一番の参加率という熱気の中、
地元ではちょっとしゃべれない赤裸々な体験談も交えつつ、
誰かお一人でも、何か一つでも、ご参考になればと願いながら
思いの丈をぶつけてきました。
その思いとは、「あなたが心から理念を信じ、本気でビジョンを実現したいと願うこと」
この当たり前のようで難しい、自分が一番ワクワクしなければならない理由について考えます。
イノベーターはワクワク感で意思決定する
講演でも言いましたが、100人に向かって理念・ビジョンを語っても、
100人が100人とも同じテンション・同じ熱量で受け止めるかというと、
そうではないですよね。
100人に同時に同様に伝えることはできない。
必ず、「最初の1人」がいます。
最初のフォロワーです。
この人は、いわゆるイノベーターです。
損得勘定や理屈ではなく、ワクワクするという直感で意思決定する人です。
曰く、来週になれば並ばずに買える新商品のために徹夜で並ぶような人です。
出典:ITmedia 永井孝尚「理論で分かる きゃりーがブレイクした理由」
もちろんキャズムを越えなければムーブメントは起こらないわけですが、
それよりも何よりも、「最初の1人」がいなければ、
ムーブメントの予感もないのです。
イノベーターは理屈で説得したり論破したりしても動きません
イノベーターを動かすには、理屈や根拠データではなく、
ワクワク感を伝えなければなりません。
ワクワク感が伝わる唯一の方法は、伝える本人が誰よりもワクワクしていること。
「なぜ、それをするのか」というWhyの部分で、本気であることです。
なにも情熱的に暑苦しく語れと言っているのではありません。
しゃべり方の上手い下手はそれほど問題ではありません。
忖度という言葉があるように、はっきり言わなくても本心は伝わります。
本音の理念・ビジョンだけが伝わるのです。
どんなに巧みに理念・ビジョンを説いても、
社長自身が本気じゃなければ絶対に社員が本気になることはありえません。
不思議なもので、よい意図は言葉にして繰り返し丁寧に趣旨説明が必要なのに対し、悪い意図のほうが言葉にしなくても伝わりやすい傾向があるように思います。
それほど人間は懐疑的で自己保身に走りやすいといえるでしょう。
「俺が最初の1人になる」
講演後のご感想でも、「最初の1人が大切だという気づき」が一番多く寄せられました。
私自身も一番嬉しかったのは、社長と一緒に参加してくれた社員さんの言葉です。
その方は、帰り際、社長に「俺が最初の1人だと思う。最初の1人になる。」と言ったそうです。
心強いですよね。
こちらの会社は、価格競争の激しい大衆商品を作っています。
このまま何もしなければ、一部の大手に食われて衰退は間違いない業界です。
だからこそ社長は危機感を持って色々な新しいことにもチャレンジされています。
そのとき、「また社長が思い付きでなんかやってるよ」と現場が冷め切っている…厭々付き合わされている…
そんなつらいことはないですよね。
実は私の前職の食品メーカーでも、社長が仕切ったプロジェクトで同様のことが起こりました。
「現場のことも知らない坊ちゃんがふざけんな」と。
無理やり製造ラインに乗らない製品を手作りで作らされ、苛立っていました。
退職者も出ました。
もし、同じビジョンを共有できていたら、
社長の意図を本当に理解できていたら、
もっと違うやり方で一緒に夢を実現できたかもしれません。
困難な状況でも、「俺が最初の1人になる」と自ら宣言してくれる社員がいる。
きっと彼は周りを巻き込んでムーブメントを作るでしょう。
そんなみんなと一緒に創っていける未来は明るいと確信しています。
あなたも、まず最初の1人に伝えることから始めませんか。