先日お邪魔した会社の社長さんは、悩んでおられました。
「部長クラスでも会社のことが自分事になっていない。」
「言われたことは真面目に一生懸命やるけど、経営に無関心。」
「数字面も公開しているけど、理解してないし、理解しようともしない。」
「他部署の情報も公開しているけど、関心を持って見ていない。」
言っちゃなんだけど、あるあるですね。
思い起こせば私の会社員時代も似たようなものでした。
「部長」はあだ名か!?と思うほど、会社のことはおろか、部内のことも把握しようとしない部長もいました。
部下のほうがよっぽど自分事として動いているような部門もありました。
自発性は職位や雇用形態には関係ない
自発的になれるかどうかは、職位や立場で決まるものではないと思います。
昇進させたからといって自発性が芽生えるとは限らないし、
たとえいちパートさんだとしても、めちゃめちゃ自発的な方もいます。
当研究所のモットーでもありますが、
ヒトは雇用形態や職位にかかわらず輝ける!
だから私としては部長クラス云々はあまり関係ない!
すぐに感じて行動してくれる最初の1人をイノベーターと言いますが、
イノベーターはエライ人とは限らないのです。
自発性が発動するのに必要な5つのこと
先日長野市で開催された夢新聞講師養成講座を、2年ぶりに再受講してきました。
夢新聞とは、夢が実現した未来の自分の活躍を伝える未来の日付の新聞です。
学校のキャリア教育や企業研修、シニア大学等でも取り入れられていて、
夢を持つ大切さや、夢を応援する喜び、応援してくれる大切な人のこと、
そして1人1人の夢を叶える一番の近道は「一人も見捨てない」ことだと伝えています。
この講座の中で、参加者が主体的に新聞制作に取り組んでもらえるように、
コンテンツ作りのコツなども学び合いました。
主体的、自発的に夢新聞づくりに取り組んでもらうためには?
ここでは、EATの法則に従ってみんなで考えてみましょう。
Experience(経験):今まで、誰かに言われなくても何かに取り組んだ経験はありましたか?
Awareness(気づき):その時、どんなことを感じた?
Theory(理論):その経験から、自発性が発動するために必要なことは何か?
あなたにもいくつもあるはずです。
私たちはこんな意見にまとまりました。
①明確なイメージ
「こうなりたい!」という明確なイメージを持っていれば頑張れるよね。
②承認欲求
「頑張ってるオレ、イケてる!」という自己承認を含め、
誰かに認められたい、見返してやりたい、という気持ちもモチベーションの源。
③楽しさ
とにかく、その行為自体が楽しい!愉しい!
もくもくと取り組むことはストレス解消ですらある!というものは続くよね。
④向上心
うまくなりたい!もっともっと!
その気持ちは欲求不満と紙一重。自分に満足しないストイックさが原動力になったよね。
⑤貢献意欲
誰かのために、仲間のために、「ありがとう」と言われたい。
あの人の笑顔が見たい。
これは組織の要件でもありますが、貢献意欲はとても大切。
⑥つながり
価値観が同じ仲間と出会えた、仲間と一緒に頑張れた、
そう人は弱い生き物だから。
競争ではなく共創、1人では頑張れなくてもみんながいるから頑張れます。
これが私たちが共創して辿り着いた答えです。
ちなみに教科書的には次の5つ。
①意義・目的が分かること。
②自分で決めたこと。
③楽しいこと!
④心理的安全性(リラックス)
⑤適度な責任感
いかがでしょうか。
社長の仕事は『環境設定』
社長の仕事は、主体性がない社員を嘆く事ではなく、
意義目的を何度でも分かりやすく説明し、
自己決定でき、失敗を恐れずに挑戦できる土壌を作り、
PDS(Plan-Do-See)を自分で回せる環境設定をしてあげることに他ならないと思います。
結果責任は社長が取るけど、成功するまでPDSを回し続ける実行責任は社員さんにある。
PDSをまるっと社員さんに渡す。
手放す経営。
口で言うほど簡単じゃないことはよく分かってるけど、
人を信じて任せていかないと、
そして自分の思った通りにならないことを受け入れていかないと、
社員さんの自発性は決して芽生えないと思います。
社員が自発的でない会社は、社長の器以上にはならない。
そっちのほうが怖いと思いませんか?
やがて自分が退くときにも、安心して任せられるように。
少しずつ手離してみませんか?