こんにちは。中田麻奈美です。
毎日いいニュースも悪いニュースも流れてくるものですが、
ヤマトの過大請求問題、フジクラの品質管理不正問題、中央省庁の障碍者雇用水増し問題、少し遡ると、日産自動車やSUBARUの不正検査問題、神戸製鋼のなどなど…
枚挙にいとまがない状況に辟易してます^^;
とくに、直近ではヤマトについて各紙紙面を割いて報道しています。
2017年の宅配ドライバー残業代未払い問題も記憶に新しいうえに、
今回は「悪意ある上乗せ」が16%あったと指摘されていました。
どうしてこんなことになったのでしょうか。
倫理意識の欠如と希薄化
「繁忙期は上乗せするものだと思っていた」
「上の指示があった」
「(見積もりと実際の作業量がズレたら請求額を修正する)契約定款を知らなかった」
「知っていたが、みんなやってるから…」
第三者委員会の調査報告書には、そんな生々しい現場の声が克明に記されています。
ヤマトHDの山内社長は、会見で「倫理意識の欠如、希薄化があった」とコメントしました。
「商品設計、社員教育、内部監査の運用に重大な不備があった」とも。
もちろん、そうなのかもしれない。
人件費や燃料費が変化する中で、適切な商品設計ができなくて…
売上に応じてインセンティブが付与される成果主義がたたって…
拡大路線のひずみが…
現場とのコミュニケーション不足で…
社員教育が不十分で…
結果的に倫理意識の欠如と希薄化につながった、と。
では、ヤマトの経営理念とは?
ここで、ヤマトHDのグループ企業理念を見てみましょう。
グループ企業理念は、
①「経営理念」
②10項目の「企業姿勢」
③6項目の「社員行動指針」の3本柱で構成されているようです。
原点となった3つの社訓も存在します。
全て書ききれないほど重厚です^^;
これは、すべて暗唱することは幹部でも難しそうですね。。。
でも、私は暗唱できることは推奨していません。
38(サバ)世代の私の記憶力低下の問題もありますが。
ここに込められた精神を、
「頭ではなく心で理解し、イメージ映像として持てるか」
ということが重要です。
下に行けば行くほど。
“法の順守と公正な行動”
“地域社会から信頼される企業”
“コミュニケーションの充実と共存共栄”
“情報開示と説明責任の実践”
企業姿勢には、今回の事案が起こるはずのなかった理想が踊っています。
“法と倫理に基づいた行動”
“職場ルールの順守”
“お客様への最良のサービスの提供”
社員行動指針が守られていたら、と考えずにはいられませんね。
理念が浸透しない組織風土で倫理意識の欠如と希薄化が起こる
社長が指摘した倫理意識の欠如と希薄化というのは、
結局のところ、組織風土がもたらした結果にすぎません。
今回の事案の原因ではあるかもしれないけれど、
その真因は歪んだ組織風土にあり、
歪んだ原因をつぶさないとまた違う形で問題が起きるでしょう。
“お金や設備以上に、「人」が最大の資本となって成り立っている会社です。
社員を単なる「人材」ではなく、会社の財産としての「人財」と考え、
何よりも「人を尊重」します。”
と言いながら、
「社員の処遇が低くて社員教育も不十分でした」
「残業代も払ってませんでした」
では形骸化にもほどがあります。
お金を優先したんだね…
建前では、どんな会社も涙が出るほど立派な理念があります。
キャッチフレーズやスローガンもあります。
私にとってヤマトで印象深いのは、
「場所に届けるんじゃない。人に届けるんだ。」というCMの爽やかさですね。
このCMに込められた精神は、「水増し」ではなかったはず。
でも、現実はそうじゃなかった。
それは、経営理念(建前)が浸透していなかったのではなく、
ホンネの理念が浸透していたということです。
「水増ししてでも数字を稼げ」っていうね。
それは、突然現場で自然発生するものではありません。
たとえそういう輩が混じっていても、全国に広まるにはそれなりのお膳立てがあります。
「これ、やっちゃえるんじゃない?」と思わせる組織風土があった。
やっちゃってる人を黙認する組織風土があった。
むしろ、上長からの明確な指示があった職場もあった。
「自分自身=ヤマトという意識を持ちなさい」という社訓だけは、
浸透していたという見方もできますね。
と言ってしまうと、意地悪すぎるかな?
まとめ
・社員は会社を映す鏡。悪意ある上乗せは、社員教育不足が真因ではない。
・建前の理念ではなく、ホンネの理念が浸透する。
・ホンネの理念浸透が組織風土を作る。